ヲタ系で取り上げるネタが減ったからと、新たに創設(大袈裟)したカテゴリですが、八月以来記事を起こしていなかったんですね。それだけヲタ系が充実していたということか。いい傾向だ。今回はこれまでの昔話よりも最近の話で、高校の同窓会ネタです。高校を卒業してどのくらい経った頃か、たしか三十代後半だったかな。
「おやおや、永遠の三十五歳ならば、つい最近の出木事ですよね?」
ああもう、自分でいらんツッコミをするでない。ともかく、卒業以来初めての同窓会とあって、四十人近くいたクラスメイトのうち、三分の二かそこらが集まった、出席率の高い会でした。
高校三年時のクラスの同窓会なので、マブダチ軍団四人のうち同じクラスだったのは夢見る乙女C(☝昔話7️⃣参照)のみ。また、同じ部活動に所属していてマブダチHと仲の良かったGはHを通じてオラとも親しくしていました。そんなGもCも会に参加しており、彼女たちと卒業以来の再会を喜び合ったわけです。
高校時代はBL(やおい)の存在など知るはずもなくNL派(笑)だった田舎の女子高生、もちろん憧れの男子もいて、オラの場合は高校二年三年と同クラスになったT君に片想いをしていました。T君はクールな雰囲気の秀才タイプのイケメン。芸能人に例えると……って、思い浮かばないのが二次元ヲタの弱味だね。知っているマンガ・アニメキャラの中では(結局そっち)斉木楠雄が一番近いタイプかな。クラスの中心で騒ぐわけでもないし、さほど目立ちもしないけど、成績は上位だった。クラスには学年№1イケメン・ミスター〇〇高校と称されるB君もいたため、彼の陰に隠れてか、イケメンだ何だと騒ぐ人もいないだろうと高をくくっていたオラでしたが、T君に目をつけた女子が何人か現れた時にはヤキモキしていましたね。まあ、特に誰とも付き合うことなく卒業したようですが。
さて、同窓会会場(貸し切りのフレンチレストラン)には続々と元同級生たちが集結。そんな中にかつての憧れ、T君の姿を見つけたオラは眩暈を覚えました。
「マジかよ……」
同窓会というものはたいてい一月(正月)か五月(GW)か八月(お盆)に行なわれるのが定番で、地元を離れている人が帰省している期間であり、そういう人たちが参加しやすいようにという計らいからなんですけど、この会も八月つまり真夏に開催されており、それでもみんなそれなりの服装で参加していたんですね。そりゃそうだよ、久しぶりに会う同級生たちだもの、暑くたってオシャレして行きたいじゃーん、そもそも冷房効いてるしね、と思うのが普通。そんなオラの感覚は見事に覆されました。なんとT君は着古した小汚い短パンにポロシャツ姿だったのです(その後ビーサン履きだったことも判明)。
思い起こせば高校時代、私服で集まる行事もありました。そんな時のT君はヨレヨレのチェックのシャツなどの、ダサいとしか表現できないファッションで登場していました。それでもフィルターのかかったオラの目には「ルックスのわりにオシャレなど気にしない、真面目に勉強に打ち込む人」としか映っていなかったんですね。恋は盲目ってやつだな。フィルターはずしたら、ただのダサ男だったわけだ。
いや~、さすがに社会人になったんだから、それなりに齢を重ねたんだから、TPOをまるっきり気にしないってのもどうよって思ったんだけど、それ以上に衝撃的だったのが彼の頭髪。頭頂部がかなりヤバくなっていました。ドリフの加藤茶氏がよく被っていたカツラに似た様相、髪形だけだったら六十代越え。「久しぶりに会う憧れの人」のシチュエーションがバッサリと崩れ落ちた瞬間でした。
とにもかくにも宴会開始。乾杯の音頭に続いて、近況報告を含む自己紹介が行なわれました。T君は地元で就職し、結婚して二児の父となっていたようです。ミスター〇〇高校のB君は欠席でした。で、そのあとのフリータイムに入ると、オラのところに近寄ってきたGが開口一番、
「稀腐人ちゃん(ファーストネームにちゃんづけで呼ばれていたのだ)あれ、何?」
「あれ」とはもちろんT君のこと。オラがT君に片想いというのは軍団の外にも知られており、また、T君がそれなりに容姿端麗だったこともみんな認めていたわけですね。
「いや、何と言われても……」
T君の激し過ぎる劣化を問われても困る。オラだってン年ぶりに会って驚愕したんだからさ。他の男子たち(三十過ぎの男性に男子ってのもどうかと思うが、感覚が関わっていた時代に戻るんだよね)も皆それなりに齢を取り「おじさん」になってはいたけれど、T君ほど変貌してはいなかったから、余計に彼の変わりようが劇的で、Gも問わずにはいられなかったのでしょう、Cたちとも話題にしていたようでした。
さて、この出来事にはまだまだ続きがあって、Gとあれこれ話をしているうちに一次会が終わり「二次会の居酒屋へ移動しましょう、タクシー呼んでありますから分乗してください」とアナウンスがあったんですよ。