先日来、夢小説の話が続いていますが、小説の基本である文章が正しい形で書かれていないと、内容以前に「これってどうよ」ということになってしまいます。別にプロの作家でも、お金貰ってるわけでもないんだから、どんなふうに書いたっていいじゃんと思われるかもしれませんが、それが非公開の個人の日記等ではなく、サイトに投稿あるいはこういったブログやTwitterで世の中に向けて発信し、そこに読者がいる以上、最低限のルールに則って書くべきではないかというのがワシの持論です。
勿論自分自身の文章が完璧であるとは思っていません。プロの校正の方から見れば訂正箇所だらけかもしれませんが、こんなワシレベルの字書きですら「この文章はいかがなものか」という文が往々にしてあるわけで、そんな「いかがなもの」が気になりだすともう、内容が頭に入ってこなくなる。ゆえに、読む際には書き方そのものが気にならないように、内容に集中できるように、字書きを名乗る以上は押さえておいて欲しいポイントがありまして、現在サブブログ1で公開中の『バンカラらぷそでぃ』の文章を例に、ちょっくら語ってみます。
¹*いよいよあちらさんの御登場だ、さすがに緊張が高まり、トイレに行きたくなってきたのには困った。
²*「³*……やあ、お待たせしてしまって。急なことで申し訳ありません⁴*」
現れた上品な紳士には見覚えがあった。豊城商事社長の豊城茂伸その人だ。物静かで落ち着いた人格者という見た目のイメージと、ビジネスにおける押しの強さが合致しないが、そういう人物ゆえに、ウチの親父に圧力をかけたという事実にも頷ける。
それから妻である和歌子夫人と、俺の見合い相手・聖爾という人³*──その格好、和服の正装に対してはスーツにネクタイで来てもらいたいものだが、淡いブルーのワイシャツの上に紺のジャケットを羽織っただけの軽装で、それでもスタイルがいいせいかカッコよくキマッて、御袋が誉めちぎるだけのことはある。
シルバーのネックレスやブレスレットなどといったアクセサリー類を身につけているのが軽薄というか軟派というか気障っぽく、まるでホストのようで好感は持てないけれど、これだけイイ男なら許されるって感じ。
さらりと流した栗色の髪、端正で華やかな雰囲気のする顔立ちは俳優だと紹介されても通用しそうだ。それこそシェークスピア劇の舞台にでも立てば似合うんじゃないか。『ロミオとジュリエット』あたりどうだろう、なんて、俺がジュリエットじゃねえぞ!⁵* こっちは結婚に反対して欲しい方だからな。
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¹*²*段落の始めはひと文字下げる。これ、国語の授業で習ったと思います。ただし、鍵カッコ(「)で始まる場合は下げません。例では²*を入れたせいで(「)が下がっちゃってるけど。
³*三点リーダ(…)は二文字分続けて(……)で表す。直線(──)も同じ。(…)の代わりに中点(・)を並べるってのはあまりやらないと思ったけど。(・・・)☜コレね。
⁴*「」の中の文の終わりには句点(。)をつけない。学校の授業では「つけろ」って言ってたようですけど出版業界のルールだそうです。「つけろ。」ではなく「つけろ」ってことね。
⁵*感嘆符(!)や疑問符(?)のあとは一文字分あける。このルールを知らなかった頃の文章はやたらと詰まって読みにくい。自戒を込めて。
「です、ます調」と、「だ、である調」は統一。小説の場合「です、ます」ってあんまりないけど。それから、同じ言い回しは避ける。文章の始まりが毎度「そして」「その時」など。またセリフのあとに『「ほにゃらら」と、〇〇は言った。』のパターンを何回も続けること。プロの大作家と呼ばれる方ですらもやらかしていることがあります。これは「言った」の表現を「呟いた」とか「喚き散らした」等、状況によって使い分ける必要があるんですよね。
あと、文章が縦書きの場合、数字は漢数字で、横書きはアラビア数字を使うのが基本らしいんですけど、ケースバイケースなのかな。ワシ、小説の入力はかな入力を使っての縦書きなんですが、pixivにしろ何にしろ横書きが推奨されているので、UPの際には横書きに変換するわけですね。その時に漢数字をアラビア数字に直すのが面倒なので(一度試みたが直し忘れ大発生でやめた)漢数字のままになっています。御了承下さい。
以上は書き方の初歩ですが、内容のミスとしてよくやりがちなのが「誰の視点で話が進んでいるのか」ということ。上記の『バンカラらぷそでぃ』は主人公の一人称で展開されているので混乱することはあまりないのですが、三人称、神の視点とか言われますけど、それで書いていると視点移動が起こってしまいがち。
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「クソッ、カイのやつ」
タカオは苛立ちながら呟いた。一方のカイも「木ノ宮め。人の気も知らないで」と心の中で思いつつも無言のままだった。
☝これ、視点移動やらかしています。たった数行の文の中でタカオからカイに移っているんですよ。三人称とはいえ視点は主人公に置くのが基本ですが、内容によっては他の人に移動させる必要性も出てきますので、その時は章で区切ったり、区切りがわかるようにしたりするのがルール。ワシは◆や◇の記号を愛用(笑)しています。上記の文をタカオからカイへと移動させるなら、
「クソッ、カイのやつ」
タカオは苛立ちながら呟いた。
◇ ◇ ◇
一方のカイも「木ノ宮め。人の気も知らないで」と心の中で思いつつも無言のままだった。
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或いは最後までタカオの視点で表現すると、
「クソッ、カイのやつ」
タカオは苛立ちながら呟いた。一方のカイも、自分を理解しないタカオに対しての不満を露わにしながらも黙っていた。
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とまあ、こんな感じになるわけですね。カイの様子はタカオの目を通して描くということです。
この他にやらかしがちなのが時系列かな。出来事は起きた順に記述するのが基本であり「あれは三年前のことだった」みたいに、途中で過去に遡るなど、みんな好きだし、やりがちなんだけど、慣れないうちは時系列で並べた方がよいと言われています。
偉そうにあれこれ述べましたが、自分の作品もきちんと基本に則っているか疑わしい。まあ、こういった記事で創作の品質向上になればお安い御用ですね。
今日も 紹介するものがないな。何のためにこのコーナーをやっているのか。あ、これがいいかも。立奏台、『バンカラ~』の本文に出てきます。☟
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