「ライトにきらめく あなたの横顔」
このワンフレーズで、切ない恋の逃避行、みたいなドラマのヒロインになれる。田園風景が広がるのんびりムードの田舎道だろうが、曲がりくねりがヤバそう、ミラーに何かが映っちゃいそうな山の細道だろうが、そこは断固として、港の夜景を臨むベイブリッジ。ハンドルを握るのは見慣れた夫であったとしても……うーん、そこはクールなイケメン、じゃないのね。
シティミュージックというカテゴリがあったと思う。稲垣潤一、杉山清貴、角松敏生といったミュージシャンの作り出す音楽がそう呼ばれていた記憶がある。都会的、スタイリッシュ、そんな言葉で形容される彼らの曲には車が登場する場面が多くあった。ライトが危険な恋を誘ってみたり、リアウィンドウに月明かりを集めてみたり、車でのドライブという行為はドラマチックな恋を促進するものと認識された。
ドライブ中、実際にシティミュージックを流して妄想に浸る。ベイブリッジじゃなくても、夜の高速道路だったら充分イケる。このまま走って海が見えるまで……うわぁ~、オシャレやん。そのシチュエーションで口説かれたら惚れてまうやろ~。ああ、でもイマドキの若い女子たちは現実的だから、そんなものには惑わされないんだろうな。と、昔の若い女子は呟いてみる。イマドキの若い男子たちに至っては車への興味が薄れていると聞くし、少子化対策には使えそうもないか。
さて、CDをディスコグラフィーに替えようっと。